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Q & A ─ 地盤改良・薬液注入

地盤改良・薬液注入工法に関するよくある質問と回答

15 件(クリックで回答を開きます)

Q1 泥水式シールドが岸壁に接近しているため、逸泥防止の薬液注入を検討していますが、改良範囲について資料等がありましたら、お教えください。

『薬液注入工設計資料(平成12年度版)(社)日本薬液注入協会』によると、薬液注入改良範囲は下記1、2の大きい方を採用することを基本としています。

1.最小改良範囲(一般に複列注入が可能な厚み(1.5m以上))
2.改良地盤の粘着力cを考慮した地山の安定計算より求まる改良範囲

上記設計資料にはシールド工事の薬液注入範囲設計方法についての記載もあります。設計施工実績としては、シールド側部の改良厚を1.5m-D/2の範囲にすることが多いようです(Dはトンネル直径)。

当社では、迅速に検討書を作成致します。

Q2 下水道小口径推進工法の立坑から水平薬注を考えています。最小スペースはどの程度必要でしょうか。また、現在立坑長を3.0mとしていますが、これで可能でしょうか。

施工機械に関しては、各施工業者によって異なるようです。一般的な話となりますが、通常の施工では1.5mの削孔ロッドを使いますので、余裕代を見込むと3m×3m程度が必要です。

詳細は施工業者によって異なりますので、専門業者にご相談されてはいかがでしょうか?なお、最新の施工技術に関しては『最新地盤注入工法技術総覧』((株)産業技術センター刊)が参考になります。

当社では、一回り小型のサンダーマシンによりφ1.8mの鋼管立坑からの水平注入実績がございます。ただし水平距離20mが限界で、その際は0.5mロッドを使用します。

Q3 DJM施工後のチェックボーリングでGL-6m付近に長さ1mの空洞を確認しました。ロームでは改良ムラが多く見られます。大きな空洞が生じた理由が分かりません。

(対象土質:軽石およびローム/地下水位:GL-1m程度、流動なし/固化材:一般軟弱用、添加量180kg/m³)

可能性としては2つあります。

1.DJMでは空気圧で粉体を地盤内部へ送ります。この高圧空気が何かの原因で地盤内に残ったもの。

2.過去に近接して建てられたビルや土中構造物はありませんでしょうか?建設時に横矢板などの山留めを用いていた場合、パイピングなどの現象で砂が山留め内部に流れ出し、土中に空洞が発生することがあります。

また、回転ムラに関しては、改良土のサンプルでセメント分含有量を測定できます。強度が出ていなくてセメント量が少なければ撹拌不足と思われます。ローム土は有機分含有量が少ないと思いますが、有機分が多いとセメント量が多くても強度が出ない場合があります。

Q4 小規模な取水堰(川幅7m程度)の基礎地盤で、床付面より2〜3mの深さに軟弱層があります。小範囲かつ簡素な浅層での地盤改良工法がありましたらお教えください。

一般的には置換工法が最も安くて確実ですが、残土処分費用によっては費用が高くなるかも知れません。この様な場合、深層混合処理などのセメント固化系の処理が一番でしょう。

この状況では、バックホウによる混合が機械も一般的かと思います。処理手順:
施工範囲のドライアップ → バックホーによる粘土層の掘削撤去 → 粘土へのセメント添加・混合 → 混合処理土の埋め戻し

施工上の制約として、①掘削域が矢板などで締め切られてドライアップ状態であること、②バックホーで掘削した土砂を仮置きしてセメント混合・撹拌する場所があること、の2点が必要です。なお、セメント添加量は土や目標改良強度によって異なります。

Q5 民有地内の立坑の底盤改良に使用したいのですが、シリカゾルの耐久性について教えてください。

立坑ということですから、どのくらい期間の耐久性が必要かが問題になります。通常の水ガラス系薬液(LWなど)でも6ヶ月間くらいは止水性・強度は満足できると思います。

16年前の改良体を掘り出した実例では、地下水位の影響を受けた場所にも係わらず、施工当初と比べて劣化は認められませんでした(改良強度は400kPa程度)。

シリカゾルの耐久性がよい理由:水ガラス系改良土の劣化は、水ガラス中に残存するNa⁺イオンが固化物のシリカと反応して固結物を溶かすために起こります。シリカゾルではこのNa⁺イオンを硫酸で中和しNa₂SO₄塩にしているため、劣化が生じません。

Q6 土地を購入しようと思います。良い土地かどうか調べるためにはどのような方法がありますか?

『良い土地』かどうか判断するためには、地盤の下の状況を知ることが重要です。表面は堅そうな地面であっても、昔は沼地だったりすると地面の下に軟らかい粘土があり、家を建てた後で沈下などの問題が生じます。

通常の家を建てる場合には、スウェーデン式サウンディングが比較的安価に行えてお勧めです。地盤の下数メートルの状況を知ることができます。

また、工場跡地などでは重金属などによる土壌汚染の可能性がありますので、土地の履歴を知ることも重要です。

Q7 薬液注入工法のセメント系注入材の適用土質について質問します。砂層への浸透注入は可能でしょうか。超微粒子セメントの場合は?

細粒分含有率(Fc)の異なる砂への超微粒子セメント注入実験では、Fc=0〜1%程度の荒い砂では浸透注入が可能でした。Fcがこれ以上大きくなると割裂注入になり、均等な改良体はできませんでした。

薬液の単価:50〜70円/L程度、直接工事費(施工費込み):100円/L程度。

強度がそれほど必要なく恒久性のみが必要な場合、弊社が開発した「浸透固化処理工法」(qu=60〜100kPa、薬液単価30円/L、施工実績13件・約10万m³)をお勧めします。もう少し強度が欲しい場合はシリカライザーという薬液があります(qu=400kPa程度、Fc適用限界は20〜40%)。

Q8 設計変更で矢板の欠損部に薬液注入工(水ガラス)を追加する必要が出てきました。根拠として一般的にどのようなデータを提出すれば認められますか?

(掘削深3.5m、地下水位GL-1.5m、シルトを含む砂質土、多量の湧水あり、N値3)

薬液注入の必要性の説明だけで良い場合は、「試掘の結果、多量の湧水があり、地山崩壊の危険性から施工に支障をきたす恐れがあり、仮設工として薬液注入を行いたい」という旨を伝えれば足ります。設計計算書が必要な場合は、最低限の土質調査としてN値と粒度分布が必要です。

止水性については、薬液注入を行うことで透水係数がk=0.0001cm/sec程度になるので、厚さ1.5m以上を確保すれば止水壁として問題ないことを説明できます。N値=3の砂質地盤の場合の推定土質定数:原地盤φ=25°程度、c=0、改良地盤φ=25°程度、c=50kN/m²程度。

Q9 シルト層とは、簡単にいうとどういうものですか?

土の粒径による分類では「粘土」「シルト」「砂」「礫(れき)」の4種類があります。「シルト」は粘土より大きく砂より小さい範囲の粒径(直径0.005mm以上0.075mm未満)の土粒子を指します。

「シルト層」という場合は、土全体の性質が粘土と砂の中間(粘土ほど粘りけがなく、砂ほどさらさらしていない)の地層を指します。

正式な分類では、液性限界(wL)と塑性指数(Ip)の値を用い、Ip≧0.73(wL-20)なら「粘土」、Ip<0.73(wL-20)なら「シルト」と区分されます。

Q10 薬液注入工法の暫定指針による「設計どおりの薬液注入が行われるかの調査費用」は、業者側・発注側どちらが負担するものでしょうか?

一般に、工事にかかる費用ですから、発注者の積算に計上されるべきものと考えております。ただし、これまでの実績では工事の規模などにより異なることもあります。

Q11 地盤改良の支持力・改良厚の設計計算について(支持力公式の適用、砂質土の粘着力付与、セメント系改良のせん断強度、根入れDfの考え方 ほか)

【1. 支持力公式の適用】「地盤改良マニュアル(セメント協会)」の支持力公式は「建築基礎構造設計指針」に準じており、後者(支持力公式)で算定します。連続基礎・φ=0°の場合、後者はqa=0.88quとなり前者のqa=quとあまり差がないため、概略設計ではqa=quを用いても問題ないと考えられます。準拠する設計基準(港湾基準・建築基礎設計指針・道路橋示方書)によって安全率の扱いが異なるため、まず設計基準を明確にしてください。

【2. 砂質土にc=1tf/m²を付与する場合】セメントを混ぜると拘束圧によって強度が変化しない粘性材料(c材)の特性になると考え、前述の支持力公式でqu(=2c)を求めます。

【3. 薬液注入と深層混合のせん断強度の違い】薬液注入:τf=c+Δc+σtanφ(原地盤のc・φに薬液注入による粘着力増加Δcを付加)。セメント系深層混合:τf=(1/2)qu(原地盤のc・φによらない)。

【4. 根入れDf】常に地表面から検討面までの深さ。より危険側の検討のためDfを考慮しない場合もあります(設計者判断)。

【5. 改良柱の径】機械攪拌式:0.8〜1mが一般的。高圧噴射式:原地盤の土質特性・施工深度・固化材・吐出圧・貫入引抜き速度などによって異なります。

【6. 地すべり防止の改良範囲】強度・範囲・改良率(改良断面積/工事面積)を変化させて試行錯誤して決定します。

Q12 重力式擁壁を計画しています。N値6の砂質土地盤で100kN/m²の地盤反力度を確認したいのですがどうすればよいですか?

簡単な経験式として「砂層 qa=N(qaの単位はtf/m²)」があります(参考:「N値およびc・φ ─ 考え方と利用法 ─」地盤工学会)。N値=6の場合、qa=6tf/m²≒60kN/m²となり、100kN/m²には若干及びません。

もう一つは、N値から内部摩擦角φ=√(20N)+15(°)を求め、長期許容支持力度qa=1/3(αcNc+βγ₁BNr+γ₂DfNq)から算定する方法です。N値=6は一般的に緩めの地盤ですので、慎重な設計が必要です。

Q13 崩壊した斜面の復旧工事で薬液注入を施しました。注入後の止水効果を数値的に発注者に説明するには、どのような方法がありますか?

透水試験結果k=5.67×10⁻⁶cm/sという条件を基に説明する方法として、浸透時間の計算式 t=L²/(k・h) を活用します。例えば、最終処分場の遮水基準(k=10⁻⁵cm/s、層厚5m)と同等の遮水性能を持つ層厚を計算すると、L≒376cmとなります。改良厚が4m程度あれば「最終処分場の遮水工と同等の遮水性を有している」と説明できます。

また、「薬液注入工設計資料(平成12年度版)」を参照し、「透水係数10⁻⁶cm/sの層が1.5m以上複列注入してあるので十分に難透水層です」という旨でも説明できます。

注意:薬液注入で斜面が遮水壁となる場合、表層だけしか注入しないと内水圧による崩壊を招く可能性があります。改良厚を十分にとるか、排水孔を設けるなどの対策が重要です。

Q14 砂層とシルト層の特徴を教えてください。

主な違いの比較:

項目砂層シルト層
粒の粗さ粗い細かい
水はけ(透水性)良い悪い
粘りけ(粘着力)ないある
沈下量(圧縮・圧密)小さい大きい
沈下の速度早い遅い

砂層の主な問題:粘着力がないため、液状化・クイックサンド・パイピング(ボイリング)が生じやすい。

シルト(粘性土)層の主な問題:ヒービング(盤ぶくれ)、圧密沈下による長期変形、側方流動による破壊が問題となります。

Q15 薬液注入工法での掘削底版の改良厚さの決め方を教えてください(砂礫土・粘性土・互層地盤の各ケース、ヒービング・ボイリング・盤ぶくれの検討方法)

「薬液注入工法の調査・設計から施工まで(地盤工学会編)」によると、改良厚さは地下水位の深度や水頭により異なりますが、一般に2〜3mあればよいとされています。

(1)ボイリング:掘削底面付近が砂礫土で、掘削側と土留め背面の水位差が大きい場合に発生。上向きの浸透圧が土の有効重量を超えると流動破壊します。設計はTerzaghi理論または限界動水勾配で検討します。

(2)盤ぶくれ:不透水層下に水頭の高い透水層がある場合に発生。揚圧力と抵抗力(自重)の平衡条件から算定します。薬液注入の改良範囲直上に未改良部を残し、改良部+未改良部の全重量を抵抗力とします。

(3)ヒービング:掘削底面付近に軟弱粘性土が厚く堆積している場合に発生。Peckの安定数Nb(=γH/Su)が5を超えると危険性が高く地盤改良等の対策が多くなっています。

互層地盤の場合:矢板根入れ部分より上に不透水層が存在する→盤ぶくれ、存在しない→ボイリングを検討します。